ややこしや、ややこしや
- 2016.05.03
- 建築
京都を旅行した時のことです。
京都だから寺院や茶室なんかを見て回ろうと(建築家の端くれとして!)建物ばかり見て回ったのですが、
どうもなにかおかしいぞと思ったことがありました。
素晴らしい建築ばかりなので、感嘆の声を上げながら見とれていたのですが、
同時に咀嚼できない居心地の悪さ、
もしくは、何か自分が大きな間違いをしているのではないかという変な気分です。
そうして、しばらく天龍寺の境内を歩いているときに、変な気分の正体がわかりました。
建築は主役ではない。
庭(あるいは風景)が主役なんだと。
額縁庭園という言葉がありますが、
開口部を額縁に見立てるという手法以上に、内部と外部が逆転していることに驚かされたのです。
簡単に言うと、どーみたって、庭が主役じゃね?
というわけで、大分市のK様邸が完成しました。
絶景を眺めるすてきな住まいです。
お客様と一緒にデザインを詰めていく作業はとても楽しく、充実したひと時だったのですが、
お客様がこの場所にこだわったいちばん大きな理由=大分市を望む眺望が最後に勝ちました。
「暮らしを邪魔しないための、センスのいいデザイン」とは建築家中村好文さんのことばですが、
自分はここで風景や暮らしを邪魔しないデザインを心がけました。
あるいは建築が「一歩下がる」ことを意識していたのかもしれません。
内部と外部が逆転するときに、得も言われぬ気持ちよさが発生します。
庭、あるいは風景が暮らしの中に入ってくると、暮らしの質がぐんと上がります。
・・・・おもてがござれば、うらがござる。
かげがござれば、ひかりがござる。
ややこしや、ややこしや。
ややこしや、ややこしや。
理屈の居心地の悪さは感覚の気持ちよさ、なのかもしれませんね。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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