物語のなかの家
- 2017.05.02
- 建築
家がただの建築から、たいせつな僕たちの家に変わるとても大事なひと時があります。
むずかしく言うと、「建築が物語性を獲得する」ということ。
世の中にはいろんな種類の住宅があり、
いろんな考え方の住宅があり、
いろんな作り方の住宅があります。
これから家を建てようと考えている人は、この「いろんな」が多すぎて、
いったいなにが大切なのかわからなくなってしまいますよね。
でもひとつだけ、住まいにとってひとつだけ大切なものがあります。
それは「住まい」と「住まいでないもの」を分けるくらいのとてもとても大切なものです。
でもそれはすっごく説明がむずかしい。
ものすごくシンプルで単純でみんなが知っているはずなんだけど、
だからというわけか、すごくすごく説明がむずかしいのです。
だから今日はヒントにしかならないかもしれません。
1970年にアメリカのロックグループ、
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのグラハム・ナッシュが書いた名曲「僕達の家」。
この名曲がうまれた瞬間は、ごく普通のどちらかというと何もない日常でした。
一緒に暮らしていたジョニ・ミッチェルと花瓶に花を生けようかとかいいながら、
「信じられないくらい普通の(本人)」時間が流れていて、
そうして1時間後に「僕達の家」が出来上がったそうです。
きっとこの時、ナッシュの中で何かが動いたのでしょう。
流れていた空気とかふたりの間の会話とか、雰囲気とか佇まいとか・・・、
なにげない日常がどうしたわけか、特別な瞬間に変わったのです。
・・・これこそが家にとって特別に大切なことだったのです。
住まいに物語が生まれなければ、それは「住まい」になりえません。
家には物語が必要です、家族に物語が必要なのとおなじくらいに。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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