エンジン01文化戦略会議 in 大分で考えた住宅のこと
- 2018.02.02
- 建築
エンジン01文化戦略会議 in 大分に行ってきました。
大分で開かれるイベントなんてショッピングやショー的要素の強いものばかりなんて思っていたのですが、今回のイベントはその名のとおり「文化を創造していく」各界の著名人が集まった文化イベントです。
会場の大分大学のキャンパスに入ると、人、人、人、の人だかり。閑古鳥が鳴くどころかなかなかどうして、文化的教養に興味関心のある来場者で溢れかえっておりました。
そうなんですよ。こういったアカデミックな催しは、敷居が高いとか人が入らないとか(と勝手に思っている人たちの)勝手な思い込みで、むしろ文化に対して我々(少なくともここに集まったひとたち)は飢餓状態になっているのです。ですから、順番待ちをしたり人込みをかき分けたりしたこの日のこの場の状況に、少なからず安堵をした私です。大分も捨てたもんじゃない。
で、私が受講できたのはまず2時限目の「言語や音楽のはじまりについて」。
脳科学者の茂木健一郎さんや森美術館の南條史生氏、サントリーホールのプロデューサーである眞鍋圭子と顔学の原島博氏、進行は理研の西川伸一氏によるディスカッションです。
・・・感想だけ言います。
茂木さん、この人は本当の天才じゃないか。サルからヒトへ私たちの先祖が進化していく過程で言語や音楽を会得した背景には感情というリビドーがあったからじゃないか(と私は理解したのですが)ということを学問体系をすっ飛ばして、それこそニューロンの感情がおもむくままに(もちろん比喩ですよ)マイク片手に猛スピードで展開していく様は、映画「アマデウス」で天才モーツァルトの創造にサリエリの筆記が追い付けない状況を思い出しました。受講している私たちもオーバーヒートしそうになるくらいです。
続いて3時限目は「魅せる歌詞の世界」。音楽評論家の湯川れい子さんと作詞家の阿木洋子さん、プロデューサーの立川直樹さんによる「音楽業界の裏話」。
4時限目は「観ないで死ねるか!オススメ映画」画家で女優の蜷川有紀さん、映画監督の本木克英さん、プロデューサーの村上典吏子さんと映画監督の三枝健起さんによる文字通りの「オススメ映画」でした。
この2コマは最初に聞いた講義と比べるとはるかに平和的で楽しいお話だったのですが、同じような問題提起があることに気が付きました。それは音楽業界はCDが売れなくて困っている、縮小産業になってしまったということと、映画業界はシネコンばかりで木下恵介やタルコフスキーといったアートとしての映画が上映される機会がなくなってしまったということ。
一見すると文化というものが縮小傾向にあるのではないかというふうに受け取られる内容です。困ったことですね。
しかし、最初に書いた通り我々は文化に対して飢餓状態なのです。タルコフスキーを上映してくれる映画館を待っているし、良質な物語を聴かせてくれる音楽を渇望しています。
これは私たちの携わっている建築(=住宅)も同じ。偽物のデザインやおせっかいなユニバーサルデザインなんかよりも、本当の意味で後世に残る住空間が求められています。
なにも背伸びをする必要はありません。立ち止まって、休んで、静かに佇むことのできる空間。私たちはそういった意味のホンモノを、そろそろ求めてもいいのではないでしょうか。
合言葉はライブとライブラリー(新しさと懐かしさ)。もう一度言いましょう。大分も捨てたもんじゃない。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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