薪ストーブと冬の朝
- 2018.02.10
- 建築
日本ハウジングのスタッフであり、府内町家の住人でもある私は、冬を心待ちにしている。それも近頃のようにカキンカキンに寒い朝を。それは薪ストーブ! 外が寒ければ寒いほど、その心地よさが際立つ気がする。
今朝も冬の朝の日課を楽しんだ。家族よりも一足先にベッドから抜け出して、Tシャツに上着を一枚羽折る。府内町家の家は、昨晩の暖かさを保ってくれていて最も寒くなる朝5時でも家の中は18度ぐらいはある。家の庭に仕込んである照明に電気をつけてその明かりで家の中を灯す。いい設計だなぁとあらためて思う。朝はあつくて美味しいコーヒーが飲みたいので、コーヒーメーカーのセットを済ませる。薪ストーブには熾き(おき:赤く残った炭)が残りまだ余熱がある。昨日燃やした分の灰をかいて捨て、寒い中外に出なくていいように昨晩のうちに家の中に運び込んである新しい樫(カシ)の木を割った薪をストーブの中に置いていく。ここにテクニックがある。
薪は置き方によって全く燃え方が異なる。またストーブの種類によっても薪の最適な置き方が違うそうである。私の愛ストーブは、ベルギー生まれの鋳物ストーブ「NESTOR MARTIN:ネスターマーティン」。歴史あるストーブでありながら、スタイリッシュでシンプルなデザインが府内町家に合っていると思う。
ストーブの中に自分の理想とする薪の配置ができたら、木くずでできた着火材に火をつけて、これまた自分の理想とする着火ポイントに置く。着火材はキャラメルを一回り大きくした大きさなので、それだけでは樫の木に火を移すほどの熱量が無い。そこで着火材の火の力を増幅するために、両者の間に一本だけ小さな杉の木を挟んであげる。すると、あんなに小さく頼りなかった火が、少しずつ力を増して大きくなり、ついに樫の木を焦がすように燃え始める。そろそろコーヒーもおちるタイミング。まだ外は暗い。コーヒーをすすりながら、じっと火を見る。ひとりだけの至福のとき。火は形を変え、色を変え、ストーブを暖め始める。
火を見ながら、いろんなことを考える。薪は一本だけでは燃えない。まわりの薪から熱をもらって自分の熱を上げていかないと火は消えてしまう。「まるでひとと一緒だな」。そんなことをぼんやりと考える。
だんだんと夜が明けて家族が起きてくる。みんな暖かそうだ。そしてまた一日が始まる。昨日と今日の境にある、清潔で静謐な独りの時間。冬の間しか感じられない豊な時間だ。今年はあと2ヶ月この生活を堪能できる。春の楽しみも見つけなきゃな。
大分の木造住宅
府内町家もご覧ください。
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