大分生まれの大分育ち。 暮らしと四季に映える住まい。
土から生まれ、土に還る
次世代へと受け継がれる家
山を抜けて風に揺れる木立を背景に、静かに佇むM様邸。訪れる人をゆるやかに招くアプローチを進むと、美しい桧の玄関ドアが待っています。
M様邸が完成したのは昨年の8月。実は43年も前から土地を所有されていたそうなのですが、子育てや仕事に便利な場所に住んでいたこと、温泉付マンションも所有していたので、ここは数年前から野菜づくりをしていた場所だとか。「それが、主人と二人暮らしになって、そろそろゆっくりと土と共に過ごすのもいいかなと思い始めた時、家づくりの条件がすべて整ったんですね。これもふたりでがんばってきた私たちへの“ご褒美”かなと思ってこの場所に家を建てることにしたんです」と微笑まれる奥様。そして広告の写真に目がとまった日本ハウジングの展示場『府内町家』を訪ねることに。「格子から灯りがこぼれる夕景の写真に惹かれて見に行ったんですが、一歩、入ってみると“空気が違う”。すっとリラックスできて、体がとてもラクなんですね。それは主人も同じことを感じていたみたいで、直感で“この家だ”って思ったんです」。さらに、府内町家が『大分の大地から生まれ大地に還る』家づくりであることにも強く共感されたのだとか。柱や梁には良質な大分県産材を使い、壁は大分の山で育った珪藻土と稚内珪藻土をブレンドした“湯布珪藻土”を、畳表は国東半島で作られる“七島藺”を主材とした府内町家は、まさに大分のいにしえの名であった“府内”にふさわしい、大分生まれの大分育ちの家。
そして玄関から生活空間であるLDKへ。メインとなるのは家族みんなで広々と寛げる開放的なリビング。とくに奥様がお気に入りなのは、リビングに向かって立つ対面式キッチン。「子どもたちがどこにいても目を配れるし、明るいリビングの窓を眺めるだけでも気持ちいいんですよ」。さらにキッチンから裏手へ、扉を開けば洗濯機のある脱衣所と浴室、洗面室に繋がるコンパクトなプランは、毎日の家事をスムーズにする配置となっています。また現在はお子さんたちのプレイルームとして活躍する和室は、摩擦に強い七島藺の畳表を使用。どんなに遊んでも傷みにくい畳は子育てにもぴったりの床材です。
その家が次世代へと受け継がれ、やがては生まれでた土へと還ることで、自然の循環を果たす家づくりとなっています。
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伸びやかに勾配天井が広がるリビングダイニング。十分な採光と風の通り道を配慮し、細やかに窓を配した。自然の光沢をみせる床と天井は桧を使用。
木と土と七島藺のぬくもり くつろぎの炎が揺れる住まい
府内町家の上質な素材とシンプルなデザインが平屋の美しさを際立たせるM様邸の住まいづくり。まず目を引くのは、北側に高さを持たせて開放感を生み出した、ゆるやかな勾配天井が広がるリビングダイニング。デッキに面した南側が明るく暖かいのはもちろん、北側にも大きな窓を配し、遠くは高崎山まで望む景色を取り込んでいます。そしてなんといっても心地よいのは、素足に触れる木肌の優しさと、湯布珪藻土の壁に包まれた空間の清々しさ。「雨の日でも空気がさらっと澄んでいて、とても気持ちがいいんですよ」と奥様。日本ハウジングで独自に開発した湯布珪藻土は、一般の珪藻土より肌で体感できるほど優れた吸湿・放湿性能があり、自然素材100%の壁材として健やかな空気環境を生み出しています。また環境に配慮した府内町家と相性のいい薪ストーブは、ご主人のご希望から。小さく揺らぐ炎を前にゆったりと座る深い椅子は、奥様がご主人のために特注でオーダーしたプレゼントなのだそうです。
リビングから繋がりを持たせた和室には、香りがよく、丈夫で湿気に強い七島藺を使用。さりげなく配した収納には、和紙の壁紙を貼ることで和のしつらえにふさわしい上品さをたたえています。さらにリビングからまっすぐに伸びる廊下を進むと、2つの居室を左右に配置。その先には洗面室、浴室があり、ひとつながりの空間を直線の動線で結ぶことで移動の負担を軽くしています。
簡潔なほど装飾を省き、自然のままに佇むM様邸。真に贅沢な住まいの在り方を教えて頂きました。