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代々住み継いできた築92 年の家に 新たな家族の物語を繋いで
大分市 M様邸リノベーション
ご夫婦と2人の子ども、奥様のお母さんの5人が暮らすMさんのお宅は、築92 年の家をリノベーションしたもの。お母さんが長年暮らし、奥様も子どものころ過ごした思い出深い建物で、見事な太い梁がシンプルな空間に生かされ、欄間や書院造りなど随所に残した昔の手仕事が風情を醸しています。向かいには趣きある古い蔵も。
「古家を壊して一緒に住む家を新築するか、よその土地に建てるか、迷って日本ハウジングさんに相談したら、リノベーションを勧められたんです。今は本当によかったなぁと思っています」と奥様。
【before】リノベーション前の旧家は、入母屋造りの堂々とした佇まい。当時の木工技術や家族の思いなど、残して引き継ぐことを考えながらリノベーションは実施された。
古い蔵はそのまま残し、二階建ての母屋は思い切って半分以下に減築。段差ばかりだった床はすべてフラットにし、部屋を取り囲んでいた縁側をなくして広いLDKにしたので、暗く使いづらかった家が、外の光が差し込む明るく快適な家に生まれ変わりました。
古い家には今ではとても手に入らないような建築材や職人が手を掛けた建具も多く使われており、残せるものはできるだけ残したいと、梁や柱、欄間、簀戸などのほか、瓦も一部残して薪ストーブ回りの床に活用しました。屋根裏から古い棟札が出てきて、初めて家の詳しい歴史がわかったという、うれしい出来事も。改修後は新しい棟札を作って隣に並べてもらったそうです。蔵の横にあった焚き物小屋を解体した際、奥様のおじいさんが“おくどさん” のために切って保管していた薪が出てきたのにも皆びっくり。何十年という歳月を経て、今その薪がM家のストーブで生かされ、家族の物語を繋いでいます。
お母さんが大切に手入れしてきた梅やツツジの木が植わった東側の庭もそのまま残し、庭が見える場所に古い書院造りを生かしてお母さんの部屋を造りました。古い家はお母さんの生家でもあり、お父さんが亡くなった後も一人で住み続けていたお母さんは、取り壊しの話が出た時、寂しさから体調を崩したほどでしたが、今ではすっかり元気に。庭の手入れをしたり、家の前の畑で野菜を作ったり、漬物を漬けたりと、今までどおり好きなことをして暮らす毎日です。長年暮らした家が生まれ変わり、「みんなで暮らせてよかった」とにっこり。
家具や持ち物は必要な物だけ残し、思い切って処分したので、広い居間はすっきり。「スギの無垢材の床は素足で歩くのが気持ちいいんです」とご主人。珪藻土のおかげで家の中がいつもからっとしていて、夏も風が通って涼しく、吹き抜けの居間もエアコン1台で快適だったそうです。
代々住み継いできた家が、92 年の歳月を経て、思いがけず命を吹き込まれることになり、「ご先祖様もきっと喜んでいるのでは」と奥様。家族の思いや物語を引き継いで生まれ変わった住まいは、ここからまた新たな家族の歴史を刻み始めています。
リノベーションで2階建てから平屋造りに生まれ変わった。アプローチの階段や敷石は、当時の石塀や基礎石を利用した。
昔のままの庭を望む東側に造られたお母さんの部屋。真ん中に七島藺を敷き、書院造りや床の間(左端)は昔のまま残している。
広々した明るい空間に生まれ変わった居間。見事な天井の梁が目を引く。
古民家特有の大きな小屋裏を利用し、ロフトを設け畳敷きのくつろげる空間に。
広々とした玄関。古い家で使われていた簀戸は鳥やコイの絵柄が刻まれた美しいもので、夏はこれに模様替えする。
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